遺棄化学兵器処理事業情報公開請求訴訟とは?

 内閣府は先の大戦で旧日本軍が中国で遺棄した化学兵器の処理をしていますが、処理しても化学兵器に含まれていた有毒元素のヒ素が残ることが大きな課題でした。しかし、そのヒ素を含んだ有害廃棄物をドイツに輸送し、埋設処分しようとしていることが判明。なぜドイツなのか等議論の過程を知るため情報開示請求をしましたが、ほぼ黒塗りでした。多額の税金を投じているにも関わらず、検討経緯が隠されたまま処理が進められています。

 新たな被害を生まないために、検討経緯を知るために提訴した裁判です。

遺棄化学兵器(毒ガス兵器)とは?

2003年に旧日本軍の遺棄化学兵器による毒ガス漏れ事件が起きた黒龍江省斉々哈爾市の団地駐車場跡地
2003年に旧日本軍の遺棄化学兵器による毒ガス漏れ事件が起きた黒龍江省斉々哈爾市の団地駐車場跡地

 第二次世界大戦中、旧日本陸・海軍は化学兵器(毒ガス兵器)を製造・使用した事実を隠すため、敗戦時、日中両国内でそれらを地中に埋めたり、川や海に投棄しました。そのため、中国には30〜40万発以上の遺棄化学兵器があると言われており、戦後も一般市民がそれとは知らずに、遺棄化学兵器に触れるなどして曝露する被害が後を絶ちません。

 

 遺棄化学兵器は,イペリット(マスタードガス)とルイサイトというびらん剤(皮膚や粘膜や肺をただれさせる)の混合ですが、有毒な元素であるヒ素が含まれており、焼却処理などをしてもヒ素は残っています。また、遺棄化学兵器の被害は、皮膚などのびらんや呼吸器症状にとどまらず、発がん性があることによるがんや内科的症状、そして高次脳機能障害や自律神経障害などの神経症状にも広がっており、生涯にわたって続いています。

提訴に至るまでの経緯

2019年(令和元年)
  9月24日
10月21日
2020年(令和2年)
9月17日
12月15日
2022年(令和4年)
3月24日
5月19日
6月2日

 

行政文書開示請求提出

 

内閣府より特例規定の適用についての通知有。

(通知内容:同年11月25日までに可能な部分を開示決定し、残部については2020年9月23日までに開示決定する。)

決定通知 開示された行政文書名称:会議結果報告書(3ページ)

 

 

開示決定通知書が届く。6,861頁(DVD-R / 2015年〜2019年分)

審査請求書を提出

 

 

答申書交付(ほぼ不開示は妥当としている。ただし付言があったり、一部開示を促す記載もあった。)

内閣府から「行政文書開示変更決定等通知書」と「裁決書」が届く。

内閣府から答申書を受けた追加開示文書380頁(DVD-R) が届く。