第二次世界大戦中、旧日本陸・海軍は化学兵器(毒ガス兵器)を製造・使用した事実を隠すため、敗戦時、日中両国内でそれらを地中に埋めたり、川や海に投棄しました。そのため、中国には30〜40万発以上の遺棄化学兵器があると言われており、戦後も一般市民がそれとは知らずに、遺棄化学兵器に触れるなどして曝露する被害が後を絶ちません。
遺棄化学兵器は,イペリット(マスタードガス)とルイサイトというびらん剤(皮膚や粘膜や肺をただれさせる)の混合ですが、有毒な元素であるヒ素が含まれており、焼却処理などをしてもヒ素は残っています。また、遺棄化学兵器の被害は、皮膚などのびらんや呼吸器症状にとどまらず、発がん性があることによるがんや内科的症状、そして高次脳機能障害や自律神経障害などの神経症状にも広がっており、生涯にわたって続いています。